Evergreen Notes は、メモをきれいに整理するための手法ではありません。
考えたことを、時間が経っても何度も使える形で残すための運用方法です。
ツールの選び方やタグ設計よりも先に、踏むべき手順があります。
その手順を一度きちんと踏むだけで、Evergreen Notes は自然に回り始めます。

Evergreen Notes の目的を先に決める
目的はひとつだけです。
時間が経っても価値が下がらず、執筆や発想にそのまま使える思考の部品を作ることです。
この目的から外れるメモは、Evergreen Notes とは呼びません。
ステップ1:インプットは「原材料」として集める
本、記事、動画、会話、ふと思いついたこと。
まずは、それらをそのまま書き留めます。
要約でも引用でも構いませんし、箇条書きでも問題ありません。
この段階では整理しません。
まだ、自分の考えとして咀嚼できていないからです。
ステップ2:「これは何の主張か」を一つだけ抜き出す
原材料メモを見返しながら、次の問いを立てます。
この話から、自分は何を言いたいのか。
ここで重要なのは、主張を一点に絞ることです。
情報を網羅的にまとめる必要はありません。
「AはBである」と言い切れる形にします。
この一文が、Evergreen Note の中心になります。
ステップ3:1ノート=1主張で書き直す
ここで初めて、Evergreen Note を作ります。
タイトルは一文で言い切ります。
本文は短く、その主張に至った理由や観察を添えます。
日記や感想にならないように注意します。
一つのノートには、一つの主張だけを書きます。
ステップ4:必ず自分の言葉で書く
引用や要約を、そのまま置かないようにします。
自分ならどう説明するか、という形に書き換えます。
Evergreen Notes は、理解したことしか残らない仕組みであるべきです。
自分の言葉にできないものは、まだ思考として定着していないと考えます。
ステップ5:関連するノートをつなぐ
似ているノート、反対の立場のノート、前提になっているノート。
どれでもよいので、既存のノートと一つ以上リンクします。
タグよりも、ノート同士の直接のつながりを重視します。
Evergreen Notes は、単体ではなく関係性の中で力を持ちます。
ステップ6:完成させない
あとで書き換えて構いません。
考えが変わったら、修正すれば十分です。
Evergreen とは、不変という意味ではありません。
更新され続けることを前提にした状態を指します。
うまく回り始めると起きる変化
記事や企画の書き出しが速くなります。
考えたはずなのに残っていない、という感覚が減ります。
ノートが増えるほど、考えること自体が楽になります。
これは才能の差ではありません。
運用手順の問題です。
最低限これだけ守ればよいこと
一つのノートには一つの主張だけを書くこと。
タイトルは言い切りにすること。
必ず自分の言葉で書くこと。
どれかのノートと必ずつなぐこと。
これだけで、Evergreen Notes は回り始めます。
まとめ
Evergreen Notes は整理術ではありません。
思考を外に出し、何度も使うための運用方法です。
新しいツールを増やす前に、この手順を一度そのまま試してみてください。
それだけで、メモとの付き合い方は十分に変わります。
(了)

小学生のとき真冬の釣り堀に続けて2回落ちたことがあります。釣れた魚の数より落ちた回数の方が多いです。
テクノロジーの発展によってわたしたち個人の創作活動の幅と深さがどういった過程をたどって拡がり、それが世の中にどんな変化をもたらすのか、ということについて興味があって文章を書いています。その延長で個人創作者をサポートする活動をおこなっています。