Which Economic Tasks are Performed with AI?
Evidence from Millions of Claude Conversations
https://assets.anthropic.com/m/2e23255f1e84ca97/original/Economic_Tasks_AI_Paper.pdf
https://www.anthropic.com/news/the-anthropic-economic-index
Anthropicのニュース記事を要約
要約
Anthropic Economic Indexの初回レポートに関する発表内容です。このレポートは、Claude.aiの匿名化された会話データを用いて、AIが労働市場に与える影響を分析した初の試みです。主な目的は、AIが現代経済におけるタスクにどのように組み込まれているかを明らかにすることです。
レポートの主な発見事項は以下の通りです。
- AIの利用は現在、ソフトウェア開発と技術文書作成に集中しており、特にコンピューター・数学関連職種での利用が顕著です。
- 約36%の職種でタスクの25%以上、約4%の職種でタスクの75%以上でAIが利用されています。
- AIの利用は自動化よりも人間の能力を拡張する「拡張(augmentation)」としての利用が主流(57%)です。
- AIは中〜高賃金職種(プログラマー、データサイエンティストなど)で多く利用され、低賃金および超高賃金職種では利用が少ない傾向にあります。
この調査では、労働経済学の文献に基づき、職種全体ではなく「タスク」に着目することで、AIの導入状況をより詳細に分析しています。独自のシステムClioを用いてClaude.aiとの会話をタスクと職種に分類し、O*NETの分類体系を利用して分析を行っています。
今後の展望として、Anthropic Economic Indexは、この分析を継続的に実施し、長期的な視点でAIの労働市場への影響を追跡していく予定です。データセットはオープンソースで公開され、研究者からのフィードバックも募っています。
概要
Anthropic Economic Index 初回レポート発表
概要
- 目的: AIが労働市場と経済に与える影響を理解するためのイニシアティブ「Anthropic Economic Index」の開始と初回レポートの発表
- データ: Claude.aiでの数百万件の匿名化された会話データ
- 分析: AIが実際のタスクにどのように組み込まれているかを分析
- 成果物:
- 初回レポート
- 分析に使用したデータセットのオープンソース公開
- エコノミスト、政策専門家、研究者へのインプット呼びかけ
主な調査結果
- AI利用の集中分野:
- ソフトウェア開発および技術文書作成タスク
- 職種別割合:
- 約36%の職種:タスクの25%以上でAI利用
- 約4%の職種:タスクの75%以上でAI利用
- AI利用の形態:
- 拡張 (Augmentation): 57% (AIが人間の能力を強化・協調)
- 自動化 (Automation): 43% (AIがタスクを直接実行)
- AI利用と賃金:
- 中〜高賃金職種でAI利用が prevalent
- 低賃金および超高賃金職種ではAI利用が低い
データと方法論
- タスク中心のアプローチ:
- 職種全体ではなく、職業タスクに着目 (例: 視覚パターン認識はデザイナー、写真家、保安検査員、放射線技師共通のタスク)
- AIはタスクごとに選択的に導入されると想定
- Clioシステム:
- Claudeとの会話を分析し、ユーザープライバシーを保護するシステム
- 約100万件のClaude.ai (Free/Pro) 会話データを使用
- 会話を職業タスク別に分類
- O*NET (Occupational Information Network):
- 米国労働省の職業情報データベース (約20,000の仕事関連タスク)
- Clioで会話をO*NETタスクにマッピング
- タスクを職種、職種をカテゴリ (教育・図書館、ビジネス・金融など) に分類
結果詳細
- 職種別のAI利用:
- 最も利用が多いカテゴリ: コンピューター・数学 (37.2%)
- タスク例: ソフトウェア修正、コードデバッグ、ネットワークトラブルシューティング
- 2番目に多いカテゴリ: 芸術・デザイン・スポーツ・エンターテイメント・メディア (10.3%)
- タスク例: 各種ライティング・編集
- 最も利用が少ないカテゴリ: 農業・漁業・林業 (0.1%)
- AI利用率 vs 労働市場における職種割合:
- コンピューター・数学職種: AI利用率 37.2% vs 労働人口 3.4% (AI利用率が突出して高い)
- 事務・管理サポート職種: AI利用率 7.9% vs 労働人口 12.2% (労働人口割合が高いがAI利用率は平均的)
- 芸術・メディア職種: AI利用率 10.3% vs 労働人口 1.4% (AI利用率が高い)
- 運輸職種: AI利用率 0.3% vs 労働人口 9.1% (AI利用率が低い)
- 最も利用が多いカテゴリ: コンピューター・数学 (37.2%)
- AI利用の深さ:
- 約4%の職種: タスクの75%以上でAI利用 (AI利用が非常に深い職種は少数)
- 約36%の職種: タスクの25%以上でAI利用 (AI利用が比較的広範囲に及ぶ)
- 職種全体の完全な自動化の証拠は見られず、AIはタスクごとに選択的に導入されている
- AI利用と給与:
- 低賃金および超高賃金職種: AI利用率が低い (手作業が多い職種例: シャンプー担当者、産科医)
- 中〜高賃金職種 (プログラマー、コピーライターなど): AI利用率が高い
- 自動化 vs 拡張:
- 拡張 (57%):
- 検証 (Validation): 2.8% (ユーザーの作業のダブルチェック)
- タスク反復 (Task Iteration): 31.3% (ブレインストーミング、反復的な生成タスク)
- 学習 (Learning): 23.3% (知識・スキルの習得支援)
- 自動化 (43%):
- 指示的 (Directive): 27.8% (最小限の対話でタスク委任)
- フィードバックループ (Feedback Loop): 14.8% (環境フィードバックに基づいたタスク完了)
- 拡張 (57%):
注意事項 (Caveats)
- Claude.ai利用が仕事目的とは限らない (趣味の小説執筆など)
- Claude.aiの応答の利用方法不明 (コピペ、ファクトチェックの有無など)
- Claude.ai Free/Proプランのデータのみ (API、Team、Enterpriseユーザーは対象外)
- タスク分類の誤りの可能性 (Clioの分類精度)
- Claudeは画像を直接生成できないため、一部のクリエイティブな用途はデータに反映されない
- Claudeがコーディングモデルとして宣伝されているため、コーディング関連の利用が過大評価されている可能性
結論と今後の研究
- AI利用は急速に拡大、モデルの能力も向上
- 労働市場の状況は短期間で大きく変化する可能性
- Anthropic Economic Indexは継続的に分析を実施し、結果とデータセットを定期的に公開
- 長期的な分析により、AIと雇用市場に関する新たな洞察を得る
- 今後の研究:
- 職種内でのAI利用の深さの変化をモニタリング
- 自動化と拡張の比率の変化をモニタリング