チームレジリエンス:困難を乗り越え、成長する組織の新しいケイパビリティ
チームが直面する様々な困難や変化に対し、ただ耐え忍ぶだけでなく、そこから回復し、さらには成長を遂げる能力「チームレジリエンス」。今日の複雑で変動の激しいビジネス環境において、この能力は組織の成功と進化に不可欠な要素となっています。本稿では、最新の研究動向を踏まえながら、チームレジリエンスの本質と実践方法について解説します。
記事のポイント
- チームレジリエンスは、組織の競争力と持続可能性を左右する重要な要素です
- 明確な目標共有、強固な横の連携、継続的な対話が、チームレジリエンスを高める3つの鍵となります
- 心理的安全性の確保された環境は、創造性と生産性の向上に不可欠です
チームレジリエンスとは:定義と基本概念
チームレジリエンスとは、組織を構成するチームが、予期せぬ変化や複雑な問題に直面した際に、その影響を最小限に抑え、速やかに回復するだけでなく、その経験を糧としてさらに成長していく能力を指します。これは単なる「困難への耐性」ではなく、「困難を通じた成長」を意味する積極的な概念です。
ラテン語の「resilire(跳ね返る)」を語源とするレジリエンスは、困難を「跳ね返す」ようにして乗り越えていく、しなやかな強さを表現しています。現代のビジネス環境では、グローバル化やテクノロジーの進化により、予測不可能な事態が頻発しています。そのため、チーム全体としての対応力、適応力、回復力が一層重要になっています。
チームレジリエンスを高めるための具体策:3つの鍵
1. 明確な目標の共有
チーム全員が共通の目標を理解し、共有することは、チームレジリエンスの基盤となります。目標が明確であれば、メンバーはそれぞれの役割と責任を自覚し、一体感を持って困難に立ち向かうことができます。目標達成までのプロセスを定期的に共有し、進捗状況を可視化することで、モチベーションを維持し、問題の早期発見と解決が可能になります。
2. 横のつながりの構築
メンバー間の強固な信頼関係、オープンなコミュニケーション、相互サポートの文化は、チームレジリエンスの重要な要素です。定期的なチームミーティングやカジュアルな交流の機会を通じて、メンバー同士の理解を深め、心理的安全性の高い環境を作ることが重要です。
3. 対話と振り返りの積み重ね
経験から学び、成長するために、定期的な対話や振り返りの機会が不可欠です。成功体験だけでなく失敗体験も共有し、そこから得られた教訓を次の行動に活かすことで、チーム全体の学習能力を高めることができます。
チームレジリエンスがもたらす社会的影響
チームレジリエンスの高い組織は、イノベーションの促進と持続可能な成長の実現に貢献します。失敗を恐れず新しいアイデアを追求する文化は、創造性を刺激し、革新的な解決策を生み出す可能性を高めます。また、変化に柔軟に適応し、長期的な視点で成長を続けることで、組織の持続可能性を高めることができます。
このように、チームレジリエンスは個々の組織の成功だけでなく、社会全体の発展にも重要な役割を果たしています。不確実性の高い現代において、チームレジリエンスを高めることは、組織の持続的な成長と社会の進歩に不可欠な要素となっています。
参考文献
– 池田 めぐみ, “個の力に頼るのは危険?いま重要な「チームレジリエンス」とは”, CULTIBASE, 2021-12-22.
– CULTIBASE編集部, “サイバーエージェントが実践する「チームレジリエンス」の育て方”, CULTIBASE, 2024-11-18.
– グロービス, “みんなで乗り越える力を ――『チームレジリエンス 困難と不確実性に強いチーム』”, グロービス, 2024-07-11.
– Courage Sapuri, “おすすめの一冊『チームレジリエンス 困難と不確実性に強いチーム』”, note, 2024-06-15.